息子がわたしの生きる杖

レビー小体型認知症の母を介護するのに、介護保険の利用でデイサービスに通い始めたころのできごと。
行きたがらない母を、気持ちよくすごしてもらえるよう、デイサービスの職員の方々と苦労していた時の話です。
玄関先で聞き覚えのある声がする。
「月の砂漠を、は~るばるとー」
「ただいま」母の声である。
デイサービスで歌った歌を職員の方と二人で、口ずさみながら帰ってきたのだという。
「今日デイサービスで何をしたの?」
「わからない、忘れた」
いつもその繰り返しである。
レビー小体型認知症の母と会話が弾まない。
ためしにその日あったことをひとつ話してと、朝母をデイサービスに見送りながら言ってみた。
職員の方に母はそのことをお願いして、デイサービスで楽しんだ歌を歌いながら帰ってきたのだ。
母の歌を聴くのは初めてだ。
「うまいじゃないの。はじめてきいたよ」
「そう。歌なんか忘れてるからね」
記憶がなくなりつつある母ですが、理解力までは薄れていないようです。
管理人に頼まれたので何とかしようと、職員の方に御願いしたのだろう。
「お母様が、息子が私の生きる杖です」と仰っていましたよ。
「しゃれたこといいますね」と、職員の方と感心していた。
今日は二人で月の砂漠を、歌いたいと思います。
少しでもレビー小体型認知症の母に思い出が出来ますように。
[ 母との思いで(日記) ]
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